NEWLOCALグループ社員インタビュー 筒井 章太(京都丹後企画)
- corporate9847
- 8 時間前
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「地域からハッピーシナリオを共に」をミッションに掲げるNEWLOCALでは、不動産開発を中心としたまちづくりを行い、人口減少社会における持続可能な地域モデルの実現を目指しています。2022年創業と立ち上げから間もない段階で、既に長野県野沢温泉・御代田町、秋田県男鹿市、京都府丹後の4つの地域でビジネスを創出・展開。
そんなまちづくりスタートアップのNEWLOCALにはどんな人たちが集まり、どんな想いで地域のハッピーシナリオを描いていくのでしょうか?
今回は、2025年5月に京都府丹後で開業したホテル「mizuya」支配人の筒井章太さん。筒井さんは、NEW LOCAL及び、与謝野産ホップを使用したクラフトビールの製造から移住促進事業などを展開するローカルフラッグとの合弁会社、株式会社京都丹後企画の社員です。これまで様々な異業種にチャレンジしてきた筒井さん。宮津との出会いやホテル運営を通じたまちづくりについてお話しを伺いました。
<筒井章太>
立命館大学文学部を卒業後、新卒で東京の広告代理店に入社。中国支社の立ち上げメンバーとして、日中間の越境ビジネス支援に携わる。コロナ禍をきっかけに地域に目を向け、2021年に株式会社FoundingBaseへ転職。京都・宮津市に移住し、まちの複合拠点「クロスワークセンターMIYAZU」の立ち上げと運営を担当。2025年より京都丹後企画にジョインし、元公共施設をリノベーションしたブティックホテル「mizuya」の支配人に就任。趣味は大陸横断。最近は宮津に移住してから美味しいお酒で大きくなった体を、mizuyaのベットメイクに勤しむことでシェイプしようと目論む。
目次
・旅と吹奏楽、そしてまちづくりの入り口へ
・mizuyaとの出会い
・“まちの編集長”として地域に宿をひらく
・宿を起点に経済をめぐらせ、関わる人々と共にまちのビジョンをつくる
・これからも一生青春でチャレンジを
・“面白がり力”が、まちを動かす原動力

旅と吹奏楽、そしてまちづくりの入り口へ
ーー 京都府丹後(宮津)と関わることになった経緯をこれまでのキャリア含め、教えてください。
出身は北海道で、18歳の時に京都の立命館大学に進学。大学ではバックパッカーとしてアメリカを横断したり、中国や内モンゴルのシルクロードを馬で横断したり、ボルネオ島の少数民族の村などを旅していました。旅以外の時間はサークル活動をしていて、高校から吹奏楽部で打楽器をやっていたので、大学でも続けました。旅の経験をきっかけに、吹奏楽と国際交流を掛け合わせることができないかと考え、ケニアやインドネシアなどの海外から奏者を招いて合同演奏会を企画・立案したりもしていました。
大学卒業後は一度東京で暮らしてみたいと思い、東京の広告代理店に就職。海外支社の立ち上げを行い、日系メーカーの中国進出を支援する業務を行なっていました。しかし、コロナの影響でその事業が撤退。今後のことを考えて転職先を探していた時に、偶然紹介されたのが前職の株式会社FoundingBaseでした。全国どこかの地域へ配属になるので、面白半分で「どこでもいいです!」と伝えたところ、新しい拠点をつくるということで、突然宮津で暮らすことに。事業責任者としてクロスワークセンターMIYAZUの立ち上げを行いました。
クロスワークセンターMIYAZUでは、コワーキングスペースやカフェスペースの運営に加え、地域の方々と協働でイベントを行っていました。生活と仕事が混ざり合ったライフワークミックスのような状態で、居酒屋やカフェで企画が立ち上がったり、宮津市の事業という信頼感もあり、地域のさまざまな人と関わることができました。応援し合える関係性というか、何かが自然発生する関係性になっていったのが嬉しかったですね。
関係性で言うと、地域の方と組んでいる「バンド」も地域に溶け込むうえで重要でした。自分はドラムを担当していて、いろんな楽器や個性を支えつつ全体を調和させ、主張するところは主張するという姿勢が役に立っていますし、さまざまな交流ができて楽しいです。ドラムは自分の性格に合っていて、特に積極的に知らない世界に入っていったり、何かと何かを掛け合わせることの土台になっているのかもしれません。
3年間クロスワークセンターMIYAZUで勤め、現在の京都丹後企画に転職しました。

mizuyaとの出会い
ーー なぜ京都丹後企画(mizuya)で働きたいと思ったのでしょうか?
まず地域というものに興味を持った背景は、自分を形作った旅での原体験があります。旅の好きなところは、世界の広さや文化、人との交流、景色やコミュニティ、住む人たちの思いなどを知ることが、とにかく楽しいからです。自分とは違う世界と触れ合うことが純粋に面白かった。
同時に、住む人たちにとっての「普通の日常」が、旅人にとっては「非日常の体験」になる。そのことに、改めて価値を感じました。誰かにとってのあたり前の暮らしは、他の誰かにとってはお金を払ってでも体験したいと思うほどの価値があるという視点で見れば、日本の地域にもまだまだ多くの「宝物」があるはずだと想像しました。それは海外への旅と、本質的には同じ気持ちです。
前職では配属先がクロスワークセンターMIYAZUになり、まさに自分の求めていたような地域の個性的な人たちや場所、暮らしと出会うことができました。何より、地域のことを何も知らない若者を、面白がって応援してくれたことがすごくありがたかった。あえて言いますが、宮津は「変人が多い」と思っていて。いい意味で自分軸を持った個性的な方たちと本気で楽しみながら仕事ができたことは、とても良い経験でした。
「新たなことにチャレンジしたい」という思いが芽生え始めた頃に出会ったのが、京都丹後企画が新たに立ち上げたホテル「mizuya」でした。ホテルという場を通して地域の日常や人の営みに触れるこの仕事に、自分がこれまで培ってきた経験を重ねられるのではないかと思ったんです。観光だけにとどまらない地域との関わり方に惹かれて、ここで働いてみたいと感じました。

“まちの編集長”として地域に宿をひらく
ーー mizuyaの支配人として、どんな業務をされていますか?
基本的には3つあります。1つ目がシフト管理や清掃、飲食などの現場の運営・マネジメント。これは自分自身も1人のスタッフとしてベッドメイクや仕込みなどを行っています。2つ目は集客戦略などの広告・マーケティング。主に旅行予約サイトへの掲載や広告運用、PDCAサイクルの実行、InstagramなどのSNS運用ですね。そこから得た口コミなどを現場に還元し、改善につなげていくことも重要です。3つ目は、地域の編集・プロデュース業務です。まちの文化を理解し、それをゲストや地域の人に還元していくこと。たとえばゲストにお店や人を紹介したり、mizuyaのラウンジを使ったライブイベントを企画しようとしたりしています。
自分の意識としては、支配人というより「まちの編集長」という表現の方がしっくりきます。よく“まちを盛り上げる”といった言い方がありますが、宿を運営すること自体が目的ではなく、地域の人たちと「このまちをどうしたいか」というビジョンを共有しながら宿を運営することで、自分たちの個性や理想、世界観が掛け合わされていくことに興味があります。みんなでスクラムを組みながら活動することで、まちがどんなふうに動いていくのか。そこにチャレンジできるのが、普通のホテルとは違うmizuyaの重要な役割だと思っています。

宿を起点に経済をめぐらせ、関わる人々と共にまちのビジョンをつくる
ーー 京都丹後企画(mizuya)で働くことにはどんなやりがいを感じていますか?
mizuyaというビジョンや個性をもったホテルがあることで、その地域に同時多発的な変化が生まれるところが一番面白いと感じています。宮津・丹後エリアの特徴として、中小企業や個人事業主が多いのですが、「自分の店や会社が良ければいい」という考え方ではなく、結果的にみんなで盛り上がろうという“まち視点”を持っている方が多いんです。
ホテルがあることがゴールではなく、地域の人たちが誇りに思えるような“開かれたホテル”を目指すことが重要です。このホテルを起点にさまざまな人が訪れ、まちのいろんな場所を歩いてもらい、この地域で多様な人々が経済を循環させていく。そして、プログラムやイベントを通して地域の人も一緒に集まり、共に作り上げていく。そういったプロセスが自分にとって大切な部分です。
もちろん、これはホテルとして経済的にもしっかりと運営し、ゲストが最大限宮津を楽しみ、好きになってくれるという土台があってこそ成り立つ話です。そのバランスを取りながら進めていきたいですね。地域や京都丹後企画、mizuyaを含め、まちのビジョンをみんなで描いていくような“ワクワク”に、やりがいを感じています。昔から共感性や感受性が強いタイプなので、目標に向かってチームで何かに挑戦することが、やっぱり楽しいですね。

これからも一生青春でチャレンジを
ーー 筒井さん自身の今後のキャリアプランや展望はありますか?
最近よく考えるのですが、正直言って明確に「これがやりたい」と決まっているものはない気がしています。でも、とにかくチャレンジが好きなんですよね。気持ちとしては、これからもワクワクすることをやりたいし、誰よりも挑戦し続けたいと思っています。
自分はプレイヤー気質で、常に“チャレンジ探し”をしているようなところがあって。学生時代の限られた時間だけでなく、おじいちゃんになっても一生青春していたいと思っています。新しいことには失敗もつきもので、苦しいこともあるけれど、だからこそ本気で笑ったり泣いたりして、楽しくてやりがいがある。今はその手段としてホテルという場があり、その中でチームの一員として活動している感覚です。
なので、この先自分が何を見つけるのかは未知数ですが、それがとても楽しみでもあります。これまで、目の前にあった全くの異業種に飛び込んできたように見えるかもしれませんが、振り返ってみるとそれが一本の線につながってきていると感じます。同時に、30代というタイミングで、今後のことや自分なりの“ドメイン”を明確にしていくフェーズだとも思っています。偶発的にいろんなことに関わってきた中でも、地域体験の提供やプロデュースといった分野は、今後も核にしていきたいですね。とはいえ、年齢的にも取捨選択や、自分の能力の“需要と供給”を意識する段階に入っているなと感じています。

“面白がり力”が、まちを動かす原動力
ーー 今後どんな人と働きたいですか?どんな人がこの仕事に向いていると思いますか?
やっぱり、ワクワクしたい人、楽しいことが好きな人ですね。そして、ワクワクすることを考えて実行するのが好きな人。また、チャレンジ精神を持っていることが大前提かなと思います。
mizuyaで言うと、開業期なので苦しいことや大変なこともたくさんありますが、それすらも楽しめるような“面白がり力”やチャレンジ精神を持った人がとても大切です。決まっていないことも多く、ゼロから考えることも多いので、ある程度のストレス耐性も必要かもしれません。
一方で、マネジメント的な視点で言うと、全員が同じタイプだとチームが崩壊してしまいます。自分はチャレンジ好きなタイプですが、細かい作業や整理整頓、調理などは世界で一番苦手で、正直ホテル業が一番向いていないかもしれない(笑)。でも、ビジョンを共有しつつ、得意なことやスキルが異なる人たちとチームを組むのが理想です。
ルーティン作業が好きな人、ベッドメイクが得意な人など、お互いの違いや強みをリスペクトできるチームが理想だと思っているので、少しでも「面白そう」と思ったら、宮津でも他の地域でもまずは飛び込んでみてください!
